水漏れが発生したときの対応手順|管理会社・大家が最初にやるべきこと
水漏れの連絡が来たら、最初の30分が勝負
「下の階の天井から水が漏れている」「洗面台の下が水浸しになっている」——管理会社に最も多く入る緊急連絡の一つが水漏れです。
水漏れは対応が遅れると被害が拡大します。天井のクロスが剥がれる、家具・家電が水損する、階下の入居者にまで被害が及ぶ——初動の速さが被害の規模を左右します。
この記事では、管理会社・大家が水漏れの連絡を受けたときの対応手順を、時系列で整理します。
対応手順(時系列)
STEP 1:状況確認(連絡受領〜5分)
入居者からの連絡を受けたら、まず以下を確認します。
- 漏れている場所:天井、壁、床、配管周り
- 水の量:ポタポタ、じわじわ、流れ出ている
- 漏水の範囲:一箇所、広範囲
- いつから:さっき気づいた、数日前から
- 上階の入居者は在宅か:水の使用状況
STEP 2:応急処置の指示(5〜10分)
入居者に応急処置をお願いします。
- バケツやタオルで水を受ける
- 家具・家電をビニールシートで覆う、または移動させる
- 被害状況を写真・動画で記録してもらう(保険請求に必要)
- 上階からの漏水が疑われる場合、上階の入居者に水の使用を止めてもらう
STEP 3:止水の判断(10〜15分)
漏水量が多い場合は、止水栓の操作を検討します。
- 専有部の止水栓:洗面台下、トイレ、給湯器付近にある
- 共用部の元栓:パイプスペース(PS)内にある各戸の止水栓
- 入居者自身で止水栓を閉められる場合は、電話で操作を案内する
- 高齢者や操作に不安がある場合は、業者到着まで待つ
STEP 4:業者手配(15〜30分)
緊急対応が可能な水道業者に連絡します。
事前に確認しておくべき情報:
- 緊急対応可能な提携水道業者の連絡先(営業時間外も対応できるか)
- オーナーへの事前承認の基準額(例:10万円以下は管理会社判断で手配OK)
- 物件ごとの給排水設備の図面の保管場所
STEP 5:関係者への連絡(〜1時間)
- オーナーへの報告:状況と対応方針を報告
- 上階・下階の入居者への連絡:被害確認と立入りのお願い
- 保険会社への連絡:施設賠償責任保険・火災保険の適用確認
STEP 6:原因調査と修繕(業者到着後)
業者が現場を確認し、漏水の原因を特定します。
よくある原因:
- 給水管・排水管の劣化・破損
- 上階の洗濯機ホース外れ
- トイレのタンク部品の故障
- 防水層の劣化(浴室・バルコニー)
- 結露水の蓄積
STEP 7:被害の記録と復旧
- 被害箇所の写真撮影(修繕前の状態を必ず記録)
- 損傷した家財のリストアップ(入居者の所有物)
- クロス・天井ボードの張替え手配
- 乾燥が不十分だとカビの原因になるため、除湿・送風の措置
費用負担の判断基準
| 原因 | 修繕費の負担 | 家財損害の負担 |
|---|---|---|
| 設備の経年劣化(給排水管の老朽化) | オーナー | オーナー(施設賠償責任保険) |
| 入居者の過失(洗濯機ホースの放置) | 入居者 | 入居者(個人賠償責任保険) |
| 上階入居者の過失 → 下階に被害 | 上階入居者 | 上階入居者の個人賠償責任保険 |
| 原因不明 | まずオーナー負担で修繕 | 保険会社と協議 |
保険の確認ポイント
- 施設賠償責任保険(オーナー加入):建物の欠陥・管理の不備による損害を補償
- 個人賠償責任保険(入居者加入):入居者の過失による損害を補償
- 火災保険の水災・水濡れ特約:自然災害や給排水設備の事故による損害を補償
入居者に対して「火災保険に加入していますか?」「個人賠償責任保険は付いていますか?」と確認することが重要です。多くの場合、入居時に加入する火災保険に個人賠償責任保険が付帯されていますが、更新をしていない入居者もいます。
管理会社として整備しておくべきこと
緊急連絡網
水漏れは営業時間外に発生することも多いです。夜間・休日の緊急連絡先を入居者に周知しておくことが重要です。
提携業者リスト
水道業者は「すぐ来てくれるか」が最も重要です。地域ごとに緊急対応可能な提携業者を2〜3社確保しておきましょう。1社だけだと、その業者が対応中だった場合に動けなくなります。
オーナーへの事前承認ライン
「〇万円以下の緊急修繕は管理会社の判断で手配してよい」というラインをオーナーと事前に取り決めておくと、初動が速くなります。毎回オーナーに電話して承認を取るのでは、被害が広がるリスクがあります。
対応記録のフォーマット
- 連絡受付日時
- 連絡者(入居者名・部屋番号)
- 状況の概要
- 対応経緯(時系列)
- 業者名・到着時間・修繕内容
- 費用
- オーナーへの報告日時
- 保険適用の有無
この記録は、保険請求やオーナーへの報告、同様のトラブルの再発防止に必要です。
まとめ
水漏れ対応で最も重要なのは初動のスピードです。連絡を受けたら、状況確認 → 応急処置の指示 → 止水判断 → 業者手配 → 関係者連絡の流れを30分以内に進めてください。
緊急連絡網・提携業者リスト・オーナーの事前承認ラインの3つを整備しておくと、夜間や休日の対応もスムーズになります。