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イラン戦争で日本の不動産はどうなる? ホルムズ海峡封鎖、この先何が起きるか

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ホルムズ海峡は、もう封鎖されている

2026年2月28日、米国とイスラエルがイランへの大規模攻撃を開始。イランは報復としてドバイ国際空港やバーレーンの石油精製所を攻撃し、3月2日にはイラン革命防衛隊がホルムズ海峡の封鎖を宣言しました。

「通過する船は攻撃する」——この警告を受けて、タンカーの通航はほぼゼロに。日本関係船44隻がペルシャ湾内で足止めされ、Maersk、CMA CGMなど大手海運もルートを停止しています。

日本は原油の94%を中東から輸入し、そのタンカーの8割がこの海峡を通っていました。つまり、日本のエネルギー供給の生命線が今、止まっています。

この先、日本の不動産市場に何が起きるのか。封鎖が続いた場合の影響を、時系列で追ってみます。

※この記事は封鎖が長期化した場合のシミュレーションです。実際には備蓄や代替ルートがあり、最悪シナリオがそのまま進行するとは限りません。ただ、先の展開を知っておくことで冷静な判断ができると考えています。

今ここ——封鎖から1週間

封鎖宣言から1週間。原油先物は急騰し、開戦前から10%以上の上昇を記録しています。株式市場は3月4日に日本株が3%超の大幅下落。Bloombergは「トリプル安(株安・債券安・円安)」のリスクを報じました。

不動産市場には、まだ目に見える変化は起きていません。不動産は株と違い、1日で値段が変わる資産ではないからです。

でも、これから起きることの「タイマー」はすでに動き始めています。

封鎖期間と不動産市場への影響度(イメージ)

2〜4週間:ガソリンと電気代が跳ねる

最初に家計を直撃するのはガソリン価格です。石油製品は原油価格に2〜4週間で追随します。レギュラーガソリンが200円を超え、「また値上がりか」とニュースになる。

電気代・ガス代の値上げも発表されます。政府が補助金で抑えにかかるかもしれませんが、全額カバーは難しい。

この段階で不動産に直接的な影響はまだ出ません。ただ、入居者の家計は確実に圧迫され始めます。特に光熱費の比率が高い寒冷地や、オール電化の物件は入居者の負担感が大きい。

1〜3ヶ月:修繕の見積もりが変わり始める

ここからが不動産オーナーにとって実感のあるフェーズです。

塩ビ管、断熱材、防水シート、接着剤——建材には石油由来のものが非常に多い。素材メーカーが価格改定を発表し、流通を経て、修繕やリフォームの見積もりに反映されてきます。

2021年のウッドショックを覚えている人は多いでしょう。あのとき木材価格は2〜3倍に跳ね上がり、「先月の見積もりが使えない」という事態が現場で頻発しました。今回は石油系素材で同じことが起きる可能性があります。

野村総合研究所の試算では、海峡が長期閉鎖された場合、原油は140ドル(現在の約1.8倍)まで上昇するシナリオが示されています。物価は1.14%上昇、GDPは0.65%減。

この段階でやっておくべきこと:予定している修繕があるなら、見積もりを早めに取る。価格が上がってからでは遅い——これはウッドショックで学んだ教訓です。

3〜6ヶ月:金利が動き出す

原油高→物価上昇が続けば、日銀は利上げの判断を迫られます。「インフレを抑えるために金利を上げる」のか、「景気を守るために据え置くのか」。ここは日銀の判断次第ですが、物価上昇が止まらなければ利上げに動く可能性は高い。

変動金利でローンを組んでいる人は、ここで返済額が変わります。金利上昇がアパートローンの返済にどう影響するかは「変動金利のアパートローン、金利が上がったらどうなるか」で詳しくシミュレーションしています。

具体的に計算してみます。残債3,000万円・変動金利0.5%の場合、金利が1.5%に上がると月々の返済は約1.3万円増。年間で約16万円。利回りがギリギリの物件だと、キャッシュフローがマイナスに転落するラインです。

一方で、面白い動きも出てきます。住宅ローン金利が上がると「家を買う」ハードルが上がり、マイホーム購入を見送る人が増える。米国ではすでにローン金利6%超で購入検討者の様子見が広がっています。つまり、「買えないから借りる」人が増えて、賃貸需要はむしろ底堅くなる。

金利上昇は不動産オーナーにとって一方的に悪いわけではない。変動金利のローンを抱えている人には痛いけど、固定金利やローン完済済みで賃貸物件を持っている人にとっては、インフレで資産価値が維持され、賃貸需要も増えるという追い風になり得ます。

残債3,000万円の月々返済額シミュレーション

6〜12ヶ月:市場の景色が変わる

封鎖が半年以上続くと、影響は「コストが上がる」というレベルを超えて、市場の構造そのものが動き始めます。

**物件の売買価格が下がり始める。**融資環境が厳しくなり、買い手が減る。「今のうちに売ろう」と考えるオーナーが増えれば、売り物件が増えて価格に下押し圧力がかかります。

**滞納が増え始める。**景気悪化が雇用に波及するまでには通常6〜12ヶ月のタイムラグがあります。リーマンショック時には派遣切りや雇い止めで家賃を払えなくなるケースが社会問題になりました。

**エリアによる明暗が鮮明になる。**都心の高額賃貸は海外駐在員の引き揚げで退去が出る一方、安全資産として国内富裕層の流入もあり得る。海外不動産への影響については「ドバイにミサイルが落ちて不動産指数30%下落」でドバイ市場の実態を分析しています。郊外のファミリー物件は引っ越しコストが高いので動かない。単身ワンルームは非正規雇用比率が高いエリアで空室リスクが上がりやすい。

その先——最悪のシナリオ

封鎖が1年以上続き、代替ルートの確保もままならない。原油は150ドルを超え、日本の物価上昇率は5%を超える——。

ここまで来ると、1970年代のオイルショックに近い世界です。

第一次オイルショック(1973年)では原油価格が4倍に跳ね上がり、日本の消費者物価は前年比20%超の上昇を記録しました。「狂乱物価」と呼ばれた時代です。金利は急上昇し、不動産市場も大きな打撃を受けました。

最悪シナリオでは、こうしたことが起き得ます。

  • スタグフレーション(物価は上がるのに景気は悪い)に突入し、家賃を上げたくても入居者の支払い能力が追いつかない
  • 建築コストの高騰で新築供給が止まり、既存物件の希少価値は上がるが、修繕すらできない状態に
  • 金利の急上昇で変動金利のオーナーが返済不能に陥り、任意売却・競売物件が増える
  • 不動産取引の凍結——買い手も売り手も様子見で、市場が動かなくなる

でも、ここまで悪化する可能性は高くない

ここまで最悪のシナリオを描きましたが、いくつかの理由で「1973年の再来」は起きにくいとされています。

**備蓄がある。**日本の石油備蓄は約200日分(国家備蓄+民間備蓄)。1973年当時とは比較にならない水準です。

**代替ルートがある。**サウジアラビアにはホルムズ海峡を迂回する東西パイプラインがあり、日量500万バレルの輸送能力を持っています。完全な供給遮断にはなりにくい。

**省エネが進んでいる。**GDPあたりのエネルギー消費量は1973年の約半分。同じ原油高でも、経済への打撃は当時より小さくなっています。

**再エネの比率が上がっている。**電力に占める再エネ比率は約20%。石油火力はほぼゼロ。電力への直接的な影響は限定的です。

そして何より、過去の戦争を振り返ると、**軍事衝突だけで不動産が暴落したケースはほとんどありません。**2001年のアフガニスタン、2003年のイラク、2022年のウクライナ——いずれも不動産市場は大きく崩れなかった。むしろ株式市場から「安全資産」として資金が流れる動きもありました。

暴落が起きたのは、戦争そのものではなく、戦争が引き起こした「エネルギー危機」や「金融危機」が実体経済を壊したときです。この区別は大事です。

結局、どう構えるか

不安を煽りたいわけではありません。ここまで最悪を描いたのは、「最悪を知っている人は、最悪が来ても慌てない」からです。

現実的に、今やっておく意味があるのはこのあたりです。

  • **修繕の予定があるなら、見積もりは今のうちに。**3ヶ月後に同じ金額で済む保証はない
  • **変動金利の物件は、金利が1〜2%上がったときのキャッシュフローを計算しておく。**紙の上で一度やっておくだけで、実際にそうなったときの判断が全然違う
  • **自分の物件のリスク特性を把握しておく。**都心か郊外か、ファミリーか単身か、入居者の雇用形態はどうか。影響の出方はポジションで全く異なる

状況は日々変わります。この記事の内容が杞憂に終わるのが一番いい。でも、備えておいて損はありません。

中東の不動産市場全体の動きについては、「ドバイにミサイルが落ちて不動産指数30%下落」でドバイ市場の実態を、「サウジアラビア不動産と、ドバイの教訓」で2026年1月に外国人所有を解禁したサウジの現在地を分析しています。

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