変動金利のアパートローン、金利が上がったらどうなるか
この記事の金利・市場データは2026年3月時点の情報に基づいています。最新の金利動向は各金融機関の公式サイトをご確認ください。
「まだ大丈夫」が一番危ない
毎月届くローンの返済明細。金額は変わっていない。だから大丈夫——そう思っている大家さんは少なくないはずです。
でも、変動金利でアパートローンを組んでいるなら、その「変わっていない」には理由があります。そしてその理由を知らないまま放置していると、ある日突然、返済額が跳ね上がるかもしれません。
2024年3月、日銀はマイナス金利を解除しました。2024年7月に0.25%、2025年1月に0.50%、そして2025年12月には0.75%へ。2026年3月現在、政策金利は約30年ぶりの水準まで上昇しています。
メガバンクも動いています。三井住友銀行と三菱UFJ銀行は2026年3月に基準金利を引き上げ済み。変動金利で借りている人の返済額に、いよいよ影響が出始めるタイミングです。
金利が上がると、返済額はどのくらい変わるのか
具体的な数字で見てみましょう。
借入額3,000万円・35年返済・元利均等返済の場合:
| 金利 | 毎月返済額 | 総利息額 |
|---|---|---|
| 0.4% | 約76,557円 | 約215万円 |
| 0.9%(+0.5%) | 約83,294円 | 約498万円 |
| 1.4%(+1.0%) | 約90,392円 | 約796万円 |
| 1.9%(+1.5%) | 約97,832円 | 約1,109万円 |
金利が0.5%上がるだけで、毎月の返済額は約6,700円増。年間で約8万円。総利息は約283万円も増えます。
1.5%上がれば、毎月の返済額は約21,000円増。年間で約25万円。家賃収入から経費を引いた手残りが月2〜3万円という物件なら、完全に赤字に転落します。
2026年3月時点の市場コンセンサスでは、2026年末までに政策金利が1.0%前後に到達するとの見方が優勢です。ホルムズ海峡封鎖による原油高がインフレと利上げを加速させるリスクについては「イラン戦争で日本の不動産はどうなる?」で時系列シミュレーションを行っています。野村證券のメインシナリオ(2026年初時点)では、2027年6月にターミナルレート1.50%に達する可能性も示されています。
アパートローンは住宅ローンより厳しい
ここで知っておくべき重要な違いがあります。
住宅ローンには「5年ルール」と「125%ルール」という激変緩和措置があります。金利が上がっても5年間は返済額が変わらず、見直し後も従来の125%が上限になる仕組みです。
しかし、アパートローン(不動産投資ローン)にはこのルールが適用されないケースが多い。
つまり、金利が上がったら、次の返済日からダイレクトに返済額が増えます。
さらに、アパートローンの金利水準は住宅ローンより高い。2026年3月時点の相場はこうなっています。
| 金融機関 | 変動金利の相場(2026年3月時点) |
|---|---|
| 都市銀行(メガバンク) | 0.9%〜1.3% |
| 地方銀行・信用金庫 | 約2.0% |
| ノンバンク | 2.1%〜2.5%以上 |
同時期の住宅ローンが0.7〜1.0%で借りられるのに対し、アパートローンは1%台後半〜2%台がスタートライン。ここからさらに上がるわけです。
「5年ルール」の落とし穴
住宅ローンで「5年ルールがあるから安心」と思っている方にも注意が必要です。
5年ルールは「返済額が変わらない」のであって、「利息が減る」わけではありません。
金利が上がると、毎月の返済額の中で利息が占める割合が増えます。その分、元金の返済が遅れる。返済しているのに、残高がなかなか減らない状態になります。
125%ルールも同様です。上限を超えた分は消えるわけではなく、「未払利息」として繰り延べされます。最終返済日に一括返済を求められる可能性もあります。
見た目の返済額が変わらないことで、問題が先送りされているだけ。5年後・10年後に一気にツケが回ってくるリスクがあるのです。
本当のリスクは「金利」ではなく「見えていないこと」
ここまで読んで、不安になった方もいるかもしれません。でも、金利上昇そのものが致命的なわけではありません。
本当に危ないのは、自分の物件のキャッシュフローが金利何%まで耐えられるか、把握していないことです。
金利が1%上がっても黒字を維持できる物件もあれば、0.5%の上昇で赤字になる物件もある。その境目を知っているかどうかで、打てる手がまったく変わります。
今やるべき5つのこと
1. ローン条件を正確に把握する
まず自分のローンの現状を確認してください。
- 現在の適用金利(基準金利と優遇幅)
- 変動か固定か(ミックスの場合は割合)
- 5年ルール・125%ルールが適用されるか
- 次の金利見直し日はいつか
契約書を引っ張り出すか、金融機関に直接確認するのが確実です。
2. 金利上昇シミュレーションをやる
現在の金利から+0.5%、+1.0%、+1.5%の3パターンで、毎月の返済額とキャッシュフローを計算してみてください。
家賃収入 − ローン返済 − 管理費 − 修繕積立 − 固定資産税 − その他経費 = 手残り
この手残りがマイナスになる金利水準が、あなたの物件の「防衛ライン」です。
3. 繰上返済を検討する
手元資金に余裕があるなら、繰上返済は有効な手段です。元金が減れば、金利上昇の影響も小さくなります。
ただし、手元資金をゼロにするのは危険。突発的な修繕(給湯器の故障、雨漏りなど)に対応できなくなります。物件の築年数と設備の状態を見ながら、バランスを取ってください。
4. 固定金利への借り換えを検討する
2026年3月時点では、固定金利は1.3〜1.5%台。変動金利との差は0.3〜0.8%ほどあります(借り換え検討時は最新の金利を各金融機関で確認してください)。
借り換えには事務手数料・登記費用・保証料で数十万円〜100万円程度かかりますが、「これ以上の金利上昇リスクをゼロにできる」のは大きなメリットです。
判断の目安:
- 金利差が0.3%以上ある
- 残高2,000万円以上
- 残期間10年以上
この3つに当てはまるなら、シミュレーションする価値はあります。
5. 賃料と空室率を見直す
金利上昇でコストが増えるなら、収入側も見直す必要があります。
建築コスト・物価の上昇を反映した賃料設定になっているか。空室期間を短くする工夫(設備更新、募集条件の見直し)はできているか。
コストが増えたときに、支出を減らすだけでなく収入を増やす選択肢も持っておくことが大切です。
「なんとかなる」から「数字で見る」へ
変動金利が上がるかもしれない——この不安は、具体的な数字に落とし込んだ瞬間に、対処可能な課題に変わります。
「金利が1%上がったら月の手残りがいくら減るのか」「防衛ラインは何%なのか」「繰上返済と借り換え、どちらが有利か」。
感覚ではなく数字で把握すること。それが、金利上昇時代にオーナーができる最も確実な備えです。物件ごとの収支をリアルタイムに確認できる仕組みについては「稼働率・入金率をリアルタイムに把握するダッシュボード活用法」も参考にしてください。
Roomlyで賃貸管理をもっとシンプルに
物件ごとの収支を一画面で把握。家賃収入・経費・修繕費をまとめて管理できるから、金利上昇時のキャッシュフロー変化にもすぐ気づける。
10区画まで無料の賃貸管理ソフト。
👉 無料で始める(準備中) 👉 お問い合わせ・導入の相談はこちら