稼働率・入金率をリアルタイムに把握。ダッシュボードの活用法
「今の稼働率は?」にすぐ答えられますか
「今の稼働率は何パーセント?」「今月の入金率は?」——オーナーや上司からこう聞かれたとき、Excelを開いて集計してから答える、という方は多いのではないでしょうか。
数字をすぐに出せないということは、日常の判断もその分遅れているということです。オーナーにとって物件は大切な資産。「確認して折り返します」が続くと、「この管理会社はちゃんと見てくれているのか」という不安につながります。
逆に、数字がすぐ出てくるだけで「しっかり管理してくれている」という安心感を持ってもらえます。
賃貸管理ソフトの「ダッシュボード」は、日々入力する契約・入金・修繕などのデータから、稼働率や入金率といった経営数値を自動で計算して一画面にまとめてくれる機能です。Excelで毎月集計していた数字が、画面を開くだけで見える状態になります。
この記事では、Excel管理だとなぜ数字が見えにくいのか、ダッシュボードがあると何が変わるのかを整理します。
Excel管理では「見えない」数字がある
Excelでも、関数やピボットテーブルを駆使すればダッシュボード的なものは作れます。VLOOKUP・SUMIFS・条件付き書式を組み合わせて集計シートを作り、グラフを貼り付けて……。実際にそうやって運用している会社もあるでしょう。
ただ、それを作れる人が社内に何人いるか。その人が辞めたら誰がメンテナンスするのか。新しい物件が増えたときに関数の範囲を直せるのか——こう考えると、Excel集計は「できる」けれど「続けられるか」が課題です。(Excel管理全般の限界については「Excelでの物件管理に限界を感じたら」でも整理しています。)そして多くの場合、以下のような壁にぶつかります。
稼働率——物件台帳と契約台帳を突き合わせて、空室の数を数えて、全区画数で割って……。物件が10棟もあれば、これだけで30分以上かかります。しかも「来月退去予定の部屋は含めるのか」など、集計のたびに判断が入ります。
入金率——銀行の入金データとExcelの請求リストを照合しないと出せません。消込が終わっていない月末時点で「今の入金率は?」と聞かれても、正確には答えられません。
平均空室期間——そもそも「いつ空室になったか」を記録していなければ、計算すらできません。退去日は分かっても、次の入居者が決まるまでの日数を物件ごとに出すには、かなりの手作業が必要です。
つまり、Excel管理でも数字は「出せなくはない」けれど、出すたびに集計作業が必要で、リアルタイムには見えない。結果として、数字を見る頻度が下がり、異変に気づくのが遅れます。
ダッシュボードがあると何が変わるのか
賃貸管理ソフトのダッシュボードは、日々の業務データ(契約・入金・修繕など)を入力するだけで、経営数値が自動で計算・表示される仕組みです。
集計作業がゼロになる——画面を開くだけで、稼働率・入金率・滞納件数が見えます。月末にExcelと通帳を突き合わせる必要がなくなります。
異変にすぐ気づける——「先月より入金率が下がっている」「この物件だけ空室が増えている」。日常的に数字を見る習慣ができると、小さな変化に早く反応できます。特に滞納の早期発見は入金率低下の最大の原因です。対応フローの設計については「家賃滞納を早期に把握するための仕組みづくり」で解説しています。
オーナーへの報告が楽になる——ダッシュボードの数字をもとにレポートを自動生成する方法もありますし、ITに抵抗のないオーナーであれば、オーナー専用の確認画面を用意して直接見てもらう形も取れます。そうなると「報告書を作る」という作業自体がほぼ不要になります。
追うべき数字は5つ
管理ソフトを入れたとして、何を見ればいいのか。基本は5つです。
ダッシュボードで追うべき5つの指標(サンプル値)
1. 稼働率
管理区画のうち入居中の割合。「何%なら正常」はエリアや物件タイプで異なるので、自社の平常値を毎月記録して把握しておくことが大切です。全体だけでなく物件ごと・エリアごとに見えると、空室の偏りが分かります。
2. 入金率
当月の請求に対して実際に入金された割合。口座振替中心の会社と振込中心の会社では「普通」の数字がかなり違います。自社の平均を知っておくことで、ある月だけ下がったときに「何か起きている」と気づけます。
3. 滞納率・滞納件数
入金率の裏返しですが「件数」で見ることも大切です。入金率が高くても、滞納が特定の物件に集中していれば、その物件固有の問題がある可能性があります。
4. 平均空室期間
空室発生から次の入居者が決まるまでの平均日数。絶対値より推移が重要で、先月より伸びていれば賃料設定や広告戦略の見直しが必要かもしれません。
5. 修繕・問い合わせ件数
未対応の修繕依頼が何件あるか。特定の物件で急増していれば、設備の経年劣化のサインかもしれません。
どの数字も、業界平均と比較するよりも自社の推移を追うことの方がはるかに有用です。3ヶ月、半年とデータを蓄積すれば、自社にとっての「正常」と「異常」が見えてきます。
全体の数字だけでは見えないこと
ダッシュボードの真価は、ドリルダウンできることにあります。
全体の稼働率が高くても、あるエリアだけ低いかもしれない。同じエリアなのにA物件は満室、B物件は空室が多い——設備や築年数の差が原因かもしれません。特定の物件だけ滞納率が高ければ、入居審査基準の見直しが必要かもしれません。
こうした「平均に隠れた問題」は、全体の数字を眺めているだけでは見つけられません。
データがあると提案の説得力が変わる
数字が蓄積されると、オーナーへの提案にも使えるようになります。
賃料調整——「この物件の平均空室期間が伸びています。賃料を見直すことで早期成約を目指しませんか」。感覚ではなくデータを見せながら提案できると、オーナーも判断しやすくなります。
設備投資の優先順位——修繕件数の推移を見れば、「給湯器の交換時期」「エアコンの故障が増えている」といった判断材料になります。
募集条件の振り返り——「どの条件で募集したときに早く決まったか」を過去データから確認できれば、次の空室対策に活かせます。
小規模のうちに始めておく意味
ダッシュボードの恩恵は、正直なところ管理区画が多いほど大きくなります。50区画の集計を手作業でやるのと、画面を開くだけで済むのとでは、節約できる時間が段違いです。
では小規模のうちは不要かというと、そうでもありません。区画が少ないうちにデータの入力・運用に慣れておけば、管理戸数が増えたときにスムーズに移行できます。50区画になってから慌ててソフトを入れて、過去データの移行に苦労する——というのはよくあるパターンです。実際に小規模な管理会社がソフトを導入してどう変わったかは「小規模管理会社の業務効率化事例」で紹介しています。
また、担当者が1〜2人の会社では、数字がその人の頭にしかない状態自体がリスクです。ダッシュボードに数字が可視化されていれば、誰が見ても同じ情報にアクセスできます。
オーナーへの営業でも、画面を見せながら「御社の物件の稼働率はこうです」と説明できれば、規模に関係なく信頼感を持ってもらえます。
まとめ
Excel管理でも数字を出すことはできますが、出すたびに集計作業が必要で、見る頻度が下がりがちです。管理ソフトのダッシュボードがあれば、画面を開くだけで経営数値が見え、異変への気づきが早くなります。
大切なのは、業界平均の数字を追うことではなく、自社のデータを蓄積して「自社の正常値」を作ること。その基準があって初めて、数字が判断材料として機能します。
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