退去立会いの進め方|当日の確認項目と見落としやすいポイント
退去立会い、チェックリストなしでやっていませんか?
退去立会いは、原状回復費用の算定と入居者との合意を得るための重要な場面です。しかし「担当者が目視で確認して、なんとなく見積もりを出す」という運用をしている管理会社も少なくありません。
見落としがあると、後から「この傷は最初からあった」「立会いのときに何も言われなかった」とトラブルになります。この記事では、退去立会いの当日の流れと、確認すべき箇所のチェックリストを整理します。
退去立会いの準備(前日まで)
持ち物
- 退去立会いチェックシート
- カメラ(スマートフォン可)
- メジャー
- 入居時の物件状況確認書(入居時の写真があればベスト)
- 契約書のコピー(特約事項の確認用)
- 筆記用具
- 名刺
事前確認
- 入居時の物件状況確認書を読み返す(入居時に報告された既存の傷・汚れ)
- 契約書の原状回復に関する特約を確認
- ハウスクリーニング特約の有無と金額
- 入居期間を確認(経年劣化の計算に必要)
当日の流れ
1. 入居者への説明(5分)
立会いの目的と流れを説明します。
- 「部屋の状態を一緒に確認し、原状回復の対象箇所を確認します」
- 「確認結果をもとに精算書を作成し、後日お送りします」
- 「入居時からあった傷や不具合があれば、遠慮なくおっしゃってください」
2. 室内の確認(20〜30分)
部屋を一周しながら、以下の箇所を順番に確認します。
玄関
- 玄関ドアの傷・凹み
- 靴箱の汚れ・破損
- 玄関タイルの割れ・汚れ
- ドアチェーン・錠前の動作
キッチン
- シンクの傷・サビ・水垢
- コンロ周りの油汚れ・焦げ
- 換気扇の油汚れ
- キッチンパネルの汚れ・変色
- 排水口の詰まり・臭い
- 吊戸棚の汚れ・破損
浴室
- 浴槽の傷・変色
- カビ(壁・天井・ゴムパッキン)
- 鏡の水垢
- シャワーヘッド・ホースの状態
- 排水口の詰まり
- 換気扇の動作
トイレ
- 便器の汚れ・傷
- タンクの水漏れ
- 洗浄便座の動作
- 床・壁の汚れ
各部屋共通
- 壁紙:タバコのヤニ汚れ、ペットの傷、ネジ穴、画鋲穴、剥がれ
- 床:傷、凹み、汚れ、ペットの尿シミ
- 天井:汚れ、シミ(雨漏り跡)
- 窓・サッシ:割れ、結露によるカビ、網戸の破れ
- 建具(ドア・引き戸):傷、建付け、取手の緩み
- クローゼット:棚の破損、壁の傷
設備
- エアコンの動作・リモコンの有無
- 照明器具の動作・電球の有無
- インターホンの動作
- コンセント・スイッチの動作
- 給湯器の動作
ベランダ
- 手すりのサビ・破損
- 排水口の詰まり
- 物干し金具の状態
3. 写真撮影
損耗が見つかった箇所は、入居者の目の前で写真を撮影します。
- 全体写真(部屋全体の状態がわかるもの)
- 損耗箇所のアップ写真
- メジャーを当てて傷の大きさがわかる写真
入居時の写真がある場合は、同じアングルで撮影すると比較しやすくなります。
4. 入居者との確認・合意(5〜10分)
確認した内容を入居者に説明し、認識に相違がないか確認します。
- 「この傷は入居中に発生したものという認識でよろしいですか?」
- 入居者が「入居前からあった」と主張する場合は、入居時の物件状況確認書を照合
- その場で合意できない場合は、「精算書を改めてお送りしますので、そちらでご確認ください」
立会い当日にその場で金額を確定する必要はありません。 精算書は業者の見積もりをもとに作成し、後日郵送するのが一般的です。精算書の作り方は「退去精算書の作り方」を参照してください。
5. 鍵の回収
入居時に渡した鍵の本数を確認し、すべて回収します。合鍵を作成していた場合は、その分も回収してください。鍵管理の詳細は「賃貸物件の鍵管理と受け渡しの方法」で解説しています。
6. ライフラインの停止確認
- 電気・ガス・水道の停止手続きが済んでいるか確認
- 郵便物の転送届が出されているか確認
見落としやすいポイント
天井
壁や床は目線の高さにあるため確認しやすいですが、天井は見落としがちです。タバコのヤニ汚れは天井に最も付着します。
窓のパッキン・サッシの内側
結露が原因のカビは、窓のパッキンやサッシの内側に発生しやすいです。冬場にカビが発生し、入居者が清掃を怠った場合は借主負担になります。
クローゼットの内部
扉を開けて中まで確認してください。棚板の破損、壁紙の傷、カビが見つかることがあります。
洗濯機置場の周辺
洗濯機の下は水漏れの痕跡やカビが隠れていることがあります。洗濯機は退去時に搬出済みのため、床の状態を確認できます。
まとめ
退去立会いは、チェックリストを使って漏れなく確認し、損耗箇所の写真を入居者の前で撮影することが基本です。
入居時の物件状況確認書と比較できる状態を作っておくことが、トラブル防止の最大のポイントです。入居時の記録が不十分な場合は、今後の新規入居者について記録を徹底してください。