夏の空室が埋まらない|値下げの前に、秋の繁忙期へ仕込む
8月、募集をかけても内見の問い合わせが入らない。この時期の賃貸市場は動きが鈍く、空室が埋まりにくい季節です。
ここで焦って家賃を下げる。よくある対応ですが、順番として早すぎることが多い。夏に埋まらないのは、部屋や家賃の問題である前に、そもそも人が動かない時期だからです。時期の問題に、値下げという恒久的な手を打つと、後で困ります。
賃貸には、人が動く季節がある
賃貸の需要には、はっきりした波があります。1月から3月の引っ越しシーズンに需要が集中し、夏場は落ち着く。これは物件の良し悪しとは別の、世の中の生活サイクルによる波です。
進学、就職、転勤。人が住まいを変えるタイミングは、年度の切り替わりに集中します。夏はその谷間で、そもそも部屋を探している人の絶対数が少ない。つまり夏の空室は、部屋が悪いから埋まらないのか、単に探している人がいないのかを、まず切り分ける必要があります。
値下げは、いちばん戻しにくい手
空室対策には複数の手があります。その中で、家賃の値下げは最も効果が確実な一方で、最も戻しにくい手です。
いったん下げた家賃は、その入居者が住み続ける限り、原則そのままです。次の更新でも上げにくい。目先の空室を埋めるために月々数千円下げると、その差額は入居期間ずっと続きます。数年住めば、下げた総額は一度の空室損をはるかに超えることもあります。
だから値下げは、他の手を尽くした後の最終手段に置くのが基本です。特に、動きが鈍いのが分かっている夏に反射的に下げるのは、時期の問題を家賃で解こうとしている点で、もったいない。
谷の時期は、仕込みに向いている
問い合わせが少ない時期は、埋める勝負をするより、秋の繁忙期に向けた準備に使うほうが理に適っています。
| 仕込み | 中身 |
|---|---|
| 募集情報の見直し | 写真・間取り図・設備欄の充実。古い情報の更新 |
| 室内の整備 | 退去後のクリーニング・小修繕を繁忙期前に完了 |
| 条件の設計 | フリーレントや初期費用の工夫を、値下げの代わりに検討 |
| 設備の点検 | 秋以降の入居に向けてエアコン等を先に整えておく |
秋から冬にかけて、また次の引っ越しシーズンに向けて、人が動き出します。その波が来たときに、いちばん良い状態で見せられる部屋にしておく。谷の時期の使い方が、山の時期の成果を左右します。
「なぜ埋まらないか」を時期のせいにしすぎない
一方で、すべてを「夏だから」で片付けるのも危険です。同じ夏でも、埋まる部屋と埋まらない部屋はあります。
内見はあるのに決まらないなら、部屋そのものや条件に理由があるかもしれません。そもそも問い合わせすらないなら、募集情報が見られていない、掲載内容が弱い可能性がある。「時期のせい」と「部屋のせい」を分けるには、問い合わせ数・内見数・成約率がどこで落ちているかを見る必要があります。
問い合わせは来るが内見に至らない、内見は来るが決まらない。どの段階で止まっているかで、打つべき手はまったく変わります。ここを見ずに一律で値下げするのが、いちばん惜しい対応です。
まとめ
夏の空室は、部屋の問題である前に、人が動かない時期の問題であることが多い。ここで反射的に家賃を下げると、下げたぶんは入居期間ずっと戻りません。値下げは最後の手に回し、谷の時期は募集情報の見直しや室内整備といった仕込みに使う。そして「時期のせい」か「部屋のせい」かを、感覚ではなく問い合わせ・内見・成約の数字で切り分ける。この順序が、秋の繁忙期の成果につながります。
Roomlyでは空室の募集状況や問い合わせを管理でき、どの物件に反応があり、どこで止まっているかを把握できます。値下げの前に、まず状況を数字で見て手を選べる状態を作れます。