募集写真の季節が、成約率を下げている
募集図面に載っている室内写真を、最後に撮り直したのはいつでしょうか。
多くの物件で、答えは「入居者が入る前」です。つまり、前回の空室のときに撮った写真を、そのまま使い続けている。数年前の写真が現役で回っていることもあります。
これが、思ったより効いています。
写真は、部屋より先に見られる
内見に来るかどうかは、写真で決まります。
物件情報を探している人は、条件で絞り込んだ後、写真を見て候補を選びます。この段階で落ちた物件は、内見の対象にすらならない。部屋がどれだけ良くても、見に来てもらえなければ成約しません。
つまり、募集にかかるコストの中で、写真は最も費用対効果が高い部分のひとつです。なのに、更新されないまま何年も使われることが多い。
光の入り方が季節で変わる
同じ部屋でも、夏と冬では写真の印象がまったく違います。
夏の午後に撮った写真は、太陽の位置が高く、部屋の奥まで光が入りません。逆に冬は太陽の角度が低いので、南向きの部屋なら奥まで日が差します。
冬の物件探しをしている人が見ているのは、これから住む冬の部屋です。夏に撮った暗めの写真では、実際より条件が悪く見えることがある。
窓の外の景色も変わります。夏に撮れば葉が茂っていて、緑が見える。冬は枝だけになり、隣の建物が見えてしまう。どちらが良いかは物件によりますが、実物と違う印象を与えているのは確かです。
「古い写真」は無意識に伝わる
もっと直接的な問題もあります。
写真に写っているものから、いつ撮ったかは伝わります。エアコンの型、カーテンレールの形、コンセントの規格、床材の色あせ。分解して意識する人はいませんが、全体の印象として「なんとなく古い」が残ります。
築年数が同じでも、写真が古いと物件も古く見える。逆に、設備が新しくなっているのに古い写真を使っていれば、更新した設備が伝わりません。
給湯器を替えた、エアコンを新しくした、壁紙を張り替えた。お金をかけて改善した部分が、写真が古いせいで募集に反映されていないことがあります。これはもったいない。
撮り直す条件を決めておく
毎回プロに頼むのは、コストが合わないことが多いと思います。
ただ、撮り直す条件をいくつか決めておくことはできます。設備を交換したとき、内装を変えたとき、前の写真から3年以上経ったとき、空室期間が2か月を超えたとき。
特に最後のものは判断材料になります。反響がないまま時間が経っているなら、写真か条件のどちらかが効いていません。条件を下げる前に写真を替えてみる、という順番はあり得ます。
家賃を下げれば、その水準は次の入居者にも引き継がれます。空室1か月の損失は、家賃1か月分ではないで書いたとおり、下げた家賃は長く残る。写真の撮り直しは一度きりのコストなので、先に試す価値はあると思います。
秋は、撮り直しに向いている
10月から11月は、撮影の条件としては悪くありません。
日射しが強すぎず、白飛びしにくい。太陽の角度が下がってきて、部屋の奥まで光が入る。空室が出やすい時期でもあるので、部屋が空いているタイミングと重なりやすい。
そして、冬から春にかけての繁忙期の手前です。ここで撮っておけば、いちばん人が動く時期に新しい写真で出せる。
どの部屋の写真が古いのかを把握する
そもそもの話として、どの部屋の写真がいつのものか、把握できているでしょうか。
管理戸数が増えると、ここが曖昧になります。募集図面を作るときに前のデータを流用して、写真だけ何年も変わっていない。誰も撮影日を記録していない。
部屋ごとに、写真をいつ撮ったかがわかる状態になっていれば、優先順位は付けられます。全部を撮り直す必要はなく、古いものから順に手を付ければいい。
空室が埋まらない理由を条件面だけで探していると、この部分は最後まで見落とされます。