法令・制度あけわたしそしょう
明渡訴訟
賃借人に物件の明渡しを求める民事訴訟。家賃滞納や契約違反が続く場合の最終手段で、提訴から強制執行完了まで6〜12ヶ月、費用は30〜50万円が目安。
別名: 建物明渡請求訴訟 / 建物明渡し訴訟
明渡訴訟の前提
明渡訴訟は、家賃滞納や契約違反を理由に、賃貸借契約を解除して入居者を退去させる訴訟です。提訴の前提として、以下が満たされている必要があります。
- 賃借人の債務不履行(家賃滞納など)
- 貸主による相当期間を定めた催告
- それでも履行されない場合の契約解除の意思表示
- 信頼関係の破壊
通常、滞納3ヶ月分かつ内容証明郵便での催告・解除通知を経た後に提訴します。
訴訟の流れと期間
| 段階 | 期間 |
|---|---|
| 訴状提出〜第1回口頭弁論 | 1〜2ヶ月 |
| 口頭弁論期日(2〜4回) | 2〜4ヶ月 |
| 判決言渡し | 1ヶ月 |
| 判決確定(控訴がなければ) | 14日 |
| 強制執行申立て〜執行 | 1〜3ヶ月 |
| 合計 | 6〜12ヶ月 |
訴訟そのものは原告(大家側)勝訴の確率が高く、争点が「明らかな滞納」だけなら数回の弁論で結審します。時間がかかるのは「判決が出てから実際に退去させるまで」です。
費用の内訳
- 印紙代: 訴額(家賃の半年分など)に応じて1〜3万円
- 郵便切手: 5,000〜1万円
- 弁護士費用: 20〜40万円
- 強制執行費用: 10〜30万円(残置物撤去費用次第)
- 合計: 30〜70万円
家賃保証会社加入物件なら、これらの費用は保証会社が負担する契約が多いです。
強制執行で起こること
判決確定後、入居者が任意に退去しない場合に強制執行を申し立てます。
- 執行官が「明渡しの催告」を訪問通知
- 1ヶ月後に断行日(執行日)
- 執行官立会いで残置物撤去・鍵交換
残置物の処理費用がかさむケースが多く、ゴミ屋敷状態だと撤去費用だけで数十万円かかることがあります。
大家・管理会社の実務ポイント
- 訴訟は最終手段。任意退去の交渉を最後まで試みる
- 家賃保証会社加入物件なら保証会社が訴訟を主導
- 連帯保証人がいれば、保証人への請求も並行して行う
- 自力救済(鍵交換・荷物撤去)は絶対にしない(違法行為で逆に損害賠償を負う)
- 弁護士・司法書士に早期相談する
家賃滞納・明渡しの実務では、140万円以下の事件なら司法書士でも代理可能で、弁護士より費用を抑えられるケースがあります。家賃滞納に強い司法書士事務所に相談してみる選択肢もあります。